ネットの筐体と山佐の筐体

5号機時代を担うプラットフォームとしてネットが開発した筐体はリオパラダイスの大ヒットにより多くのユーザーに認知された。リオパラ導入当初はメダル投入口付近の不具合でメダルが詰まって、店員を呼ぶ回数が増えて「いいかげんにしろよ!」と店員も思ったし、ユーザーもこの台は終わってると思った。しかし、早い段階で修理するフォローが始まったらしく不具合の起きるリオパラは次第に減ると同時にリオパラのゲーム性と筐体の性能をフルに活用した演出でユーザーに5号機も楽しいというイメージを与えてくれた。

ネット筐体は「彩」「響」「操」「演」の4つのコンセプトを元に開発されている。デザイン性の優れたフォルムと鮮やかなワイド液晶を搭載している「彩」。筐体上部と下部それぞれ2基搭載してるスピーカーによる重厚なサウンド「響」。大きなリールと押しやすい停止ボタン、そしてスペシャルボタンという演出上のギミックを搭載している「操」。液晶横には演出用のスペースが存在し、リールと液晶画面が視覚的にとらえやすい立体型な配置により、出目と液晶の両方で演出を彩る「演」。

汎用性に優れた筐体でありながら、スペシャルボタンや液晶横の演出用ギミックスペースの活用により、機種のゲーム性を最大限に引き出す魅力的な筐体になっている。リオパラの成功により、誰もが期待した2作目は熊酒場であった。この熊酒場でネットの筐体の汎用性の威力を知ることになる、それが熊酒場で搭載された「シャッター」だった。シャッターと言えば大都技研だが、5号機に入りビスティがモーニング娘。新世紀エヴァンゲリオンまごころを、君に〜などで演出に盛り込んでいく矢先の出来事だった。シャッターも搭載できる汎用性はビスティのようにシャッター標準装備にしてしまう筐体に比べ実に強力だ。当時は大都技研がまだ筐体を発表していなかったが、スゴビの存在によりビスティの筐体は一世代前の4号機の大都技研の筐体という状況になった。エヴァ2のゲーム性が高い評価を受けていようと、筐体がパクりなのはいただけないというのが私の本心だ。

ネットはリオパラ・熊酒場とリリースしてハーレムエースという凄い機種を開発した。ハーレムエースでは熊酒場で採用したシャッターから更に進化したギミックとしてのレーダー役物が搭載され、ネットの筐体は何処まで進化するのかと驚かされた。メダル投入口といえば、リオパラで苦い思いをした部分だがハーレムではメダル投入と同時に「レッツゴー!!」としゃべる。これが朝イチのホールでこだまするのは実に圧巻の出来だと思った。筐体自体のクオリティというのは汎用性が重要でありながら、当然独自性も重要だ。

山佐は現在までにリリースした5号機のほとんどがオリジナル筐体を採用し、汎用性のある筐体を開発していない。パチスロプレイボーイから始まった山佐5号機は、ピカゴロウVを経てニューパルサーVを開発した。ニューパルサーVはリールが4本あり停止ボタンも4つある、そして筐体上部にはかなりでかい菱形のモニュメントが存在し、インパクトを与えている。緑色の直球ストレートの筐体は、機械割など出玉性能上の威力が低くホールではあまりお目にかかれなかったが、実にこだわりが感じられる作りだった。そしてパチスロ戦国無双の登場だ。炎を髣髴とさせるフォルムにワイド液晶を搭載し、筐体上部の大型スピーカーと筐体周囲のLEDによる音と光の演出は戦国無双の筐体ならではというパフォーマンスが最大限に発揮されている。パチスロ機動戦士ガンダム2〜哀・戦士編〜」はガンダムをモチーフにした筐体の配色とカタパルト発進時のスロットルレバーを搭載している。パチンコ・エヴァ4〜使徒、再び〜もエヴァ枠を採用していたが、パチスロではガンダムが同じような発想で筐体を作っていた。

筐体はユーザーが直接触れたり体感する大切な部分だから、筐体の操作性も大切だし、スピーカーや液晶位置・リール位置などによってユーザーの印象も変わってくる。ホールには同様な形をしたパチスロ機が多い中、いかに自己主張させるかという問題もあるし、機種の世界観を具現化させる創作性が要求される。ユーザーはパチスロ機を出玉や機械割で判断する事が多いけど、筐体の印象も無意識のうちに頭に入ってきて「相性」に関係してくる。