パチスロ漫画(カワサキカオリ)の話

パチスロの漫画を読む人はパチスロを打ってる人のどのくらいの割合なのだろうか?
打ち手の多くはパチスロ攻略本を読んでいるだろうが、スロ屋開店前の列で漫画を読んでいる人は意外と少ない。パチスロ漫画は鮮度が命であり、掲載時期によって読者が知りたい台を取り上げているのが一般的だ。また、漫画家と原作(監修)というペアで書いている作品も多くスロプロと呼ばれるカリスマ性の高い打ち手の詳細な解説付きの漫画などもある。パチスロ攻略本では、数字でしかない情報も漫画を読むと実際ホールで直面する生きた問題を取り上げてくれていたりする。例えば機種ごとのデータカウンターの見るべきポイントや設定看破要素などが漫画だと詳細に(リアルに)書かれている。
-
もともとパチスロ漫画は読まない人だった。なぜ読まなかったか、理由は「退屈」だ。上記で書いたように役に立つ情報もあるがストーリー展開は常に「勝って」終わるというもの、情報が目新しければ楽しめるが現状設定もろくに入らないような機種で漫画を描いて、その最後が大勝ちといった場合は退屈を通り越してため息が出る。パチスロ漫画が他の漫画と異なる点はいくつかあり、実用性の高い生きた情報が得られなければ面白くない。(偏見あり)自慢話や本当にあった話系のパチスロ漫画はパチスロ漫画というより、パチスロ系の題材を扱った普通の漫画といった捉え方(カイジなどと同じジャンル)になると思っている。
パチスロ漫画では勝って当たり前のストーリー展開なので、負けて終わるといった展開の話を読むと思わず躊躇してしまう。もちろん実際打っている人の多くは勝つこともあれば負けることもあり、敢えて言うなら負け越してると思うといった感じだろう。そういった打ち手のリアリズムに近い漫画がカワサキカオリが書くパチスロ漫画だと思う。

  • -

アドリブ王子やコミックワールド沖などパチスロ機へデビューしたパチスロ漫画もある。この2作品に共通して言えるのは、勝つと負けるという2種類の生き様が同居しているということ。前述した通り、パチスロ漫画は勝って当たり前のシナリオが多い。もちろん、やんちゃブギなどは負けて終わったら面白みがないがそう思わせる作品自体は非常に少ない。多くの場合無理やり勝って終わったといった感じに話を持っていくものが多く、台選びまでのシナリオを精細に書いて座ってから勝つまでが数コマというスカスカな内容など。PUZZLEはその点さすが梅屋シンと感じるような、座ってからの勝負論を展開してくれるがすばらしい。結局台を選ぶ際などはパチスロ攻略本の数値を参考に高設定に近いものを座ればよいのである意味簡単ではある。しかし、座ってからの挙動はパチスロ攻略本にはそれほど書かれていなく、パチスロ漫画では「なぜその台で粘ったのか?」「なぜその台を捨てたのか?」といったスロプロの勝負理論を垣間見ることが出来る。また、パチスロ漫画では新たな打ち手を獲得しようとする機種の特徴や面白みを紹介していく内容の場合もある。ただ勝つ話で終わるパチスロ漫画は多く、パチスロ漫画のクオリティの上昇という点は多くの読者が願うことだと思う。

    • -

話はやや逸れたが、カワサキカオリについて語りたいと思う。まず、一番私が感じているのは絵がかわいい。パチスロ漫画の多くはかっこよく書いているため、かわいい絵のパチスロ漫画に非常にほっとする。シナリオに関しては様々な内容(パチスロ関係ないときもあり)で、基本的にカワサキカオリ(主人公)は負けることが多いと思う。この負けることが多い点も非常に親近感が湧くポイントで、主人公の周りの登場人物も面白いキャラクターが多いがこっちは勝つことが多い。カワサキカオリ本人に会った事はないが、打ち方や負け込むとホールをうろうろしだすなど「(自分じゃないけど)いるいる!」と思っちゃうほどリアルな心理描写がまた面白い。確かに負け越した時にみんなどうやって乗り越えてきているのか、気になる部分だ。朝の開店前のクジで大失敗して、それからどうしたのか。パチスロ生活ではごくごく普通にある情景が描かれている事で、打ち手は主人公の気持ちをさらに理解しやすくなっている。ただし、基本的に攻略となる情報はほとんどないので知っている人が読んでいるという前提らしい。そこがまたいいと思う。