エロティックとパチスロ機 第2回(全2回)

AVパチスロ「ビックチャンス」から10余年、パチスロはエロに密接したムーブメントが起きていた。
「萌えスロ」それはエロティックではなく一種の少女(女の子)への愛情表現から生まれたオタク文化パチスロ機にもたらした革命だったと思う。5号機時代の始まりと萌えスロの船出はほぼ同じタイミングで起きていた。AV「ビックチャンス」に遠からず近からずといったパチスロ機も当然存在する。空想でしかなかったエロティックとパチスロ機の融合が実現したとき、打ち手はどのような反応をしたのだろうか。

美麗(バルテック)
http://777.nifty.com/cs/catalog/777_777/catalog_birei_1.htm
AVパチスロという要素をそのまま持ってきたパチスロ機がこの美麗だ。

バルテック初の液晶搭載機は、AV女優とのタイアップマシン。現役AV女優の激しい液晶演出がウリであり、パチスロ史上初のオヤジ心をくすぐる仕様(?)となっている。また、JACゲーム中には難易度がA〜Dの4段階あるパネルアタックなる演出が用意されており、ちゃんと消化するとヌードが……。 大量獲得機でコイン持ちもそこそこ良いことから、スペック的には甘めのマシンとなっている。

AV女優とタイアップという事で、直球勝負してきたバルテックの美麗はパチスロ4号機だ。当時は液晶技術も発展途上の状態で、実写にもかかわらずリアリティに欠けているほどグラフィックが汚い。当然ボーナスでAV女優がヌード画像を披露するが、引用文通りJAC中(パネルアタック)に選択する4段階の難度に応じたヌード画像が存在する。過激なヌード画像を見たいという人は最高難度を選択したボーナス中が「本当の勝負」という捉え方もできる。エロのためには努力を惜しまないという打ち手の心理を利用したパチスロ機、稼動率も上々だったようだが打ち手は周囲からの白い目線に耐えることが必要だった。

美麗Ⅱ(バルテック)
http://777.nifty.com/cs/catalog/777_777/catalog_strikezoneinbirei2_1.htm
5号機として生まれ変わった新生AVパチスロが目指したものは?

好評を博した“AVパチスロ”こと『美麗』の正統後継機となる本機『美麗II』では、イエローキャブ(ウエスト)所属のアイドルユニット・ストライクゾーンをメインキャラクターに採用。
作詞・作曲家の中村泰士氏のプロデュースによって結成された彼女達は、その艶姿と歌声でプレイヤーを心ゆくまで楽しませてくれる。特に「パネルアタック演出」でのコスプレ映像とデビュー曲の「お持ち帰りはOK!」は、必見、そして必聴だぞ!

前作美麗にて本物のAV女優を起用したことは間違いではなかった。AVパチスロ(実機)の原点としてはふさわしい姿だと思う。これを読んでいる人の多くがもう気づいているかもしれないが、「AV女優のヌード画像をみるなら、AV見たほうが動画だしいいんじゃないか」というシンプルな結論にたどり着いた。結果的にAVパチスロはアイドルパチスロへ転身することになり、アイドルのちょっぴりエッチな画像やボーナス中のBGMのPVを見れるといった演出に落ち着いた。しかし、パネルアタック演出は明らかな進化を遂げて、チャレンジボーナス中、左リールに存在する赤(Bomb)・青(Speed)の各ブランク図柄を獲得すればするほど、次回ビッグボーナス時のパネルアタック成功率が大幅にアップするという今の5号機でも通用するような要素を盛り込んでいる。パチスロらいし面白さとちょっぴりエッチな雰囲気が融合したアイドルパチスロは前作ほどのインパクトはないものの、AVパチスロ(実機)の現代の姿だと思う。2004年発売予定から流れて、ようやく発売に漕ぎ着けた機種でもある。

夜勤病棟(イレブン)
http://777.nifty.com/cs/catalog/777_777/catalog_yakinbyoto_1.htm
18禁PCゲームのタイアップで生まれた5号機パチスロ

PC版18禁ゲームとして空前の大ヒットを生んだ『夜勤病棟』がパチスロになって登場。パチスロの規定上過激な描写は抑えざるをを得なくなっているが、数々の美女キャラクターが液晶演出で活躍しまくる上、BIG中には4人のキャラクターからプレイヤーが任意に歌付きBGMを選ぶことが可能……と、原作ファンには堪らない仕掛けが満載である。

夜勤病棟といえば、1999年12月にミンクよりWindows 95/98用ソフトとして発売された18禁ゲームだ。陵辱系の18禁ゲームとしては異例の人気を誇り、小説やOVAなどメディアミックス展開もした作品。夜勤病棟は製造台数限定のパチスロ機として登場し、注文段階で既に完売しており導入を後から予定していたホールでは中古で買う以外入手困難な状態となった。美麗Ⅱのソフトなエロティックから、再び過激なエロティックへの帰還かと思いきや美麗Ⅱよりエロを排除したものになった。ボーナスは他機種のようにキャラクターとBGMを選択できる、またエッチな画像はほとんどなく期待されていたRT「夜勤タイム」も通常画面とさほど変わらない仕様になっている。しかし、上記2機種のAVパチスロと異なるのは機械割がちょうどよく、ホール側が設定6を投入できるスペックだということ。※設定6であれば勝率約80%と出玉性能も安定している。
美麗が登場した頃に比べ、エロに対する規制は厳しくなっているように感じる。
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エロに対する規制が厳しくなる一方、萌えの拡大解釈に助けられた“エロ”もあった。萌えスロはエロティックな表現がありつつも、パチスロとしての軸を崩さずに作られているためパチスロ機として認知されている。萌えブームにより表現の幅が広くなったため、リオパラダイス(ネット)は今までのリオシリーズより過激になっている。超お父さん(SNKプレイモア)快盗天使ツインエンジェル(トリビー)など萌えをコンセプトにしたパチスロ機も登場してきた。パチスロ マジカルハロウィン(KPE)といったパチスロ的な面白さと萌えを兼ね備えた機種が台頭してきた。モエる まりんバトる(エレコ)やもえろ!ハーレムエース(ネット)など萌えスロを主張した機種(モエという言葉を機種名にした)ものも登場した。これらの萌えスロは夜勤病棟よりも遥かにエロに傾倒しているものであり、萌えという言葉ひとつで検定通過も可能になるというのは時代の流れなのかと少し不思議に思ってしまう。ただ、こうしたゲーム性が男女共に人気であるという点も事実であり元気のないパチスロ業界で萌えを追い出したら全部ジャグラーになってしまう(偏見あり)
過激なエロティックはパチスロとの相性が悪く、パチスロ的な良さを堪能しつつも「チラリズム」を体感できる萌えスロのバランスの良さが現代のニーズにマッチしているようだ。

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余談だが、アストロ球団(JPS)(型式名:モエロアストロキュウダン2)は決してモエスロではない。